gauloisの日記

随想その他

赤ずきん

赤ずきんが、通りかかった貴族の赤い帽子に憧れたところに父親に対しての情愛から早く大人になりたいと願う思春期の女の子の欲望が投影されている。赤という色が処女喪失や、月経の始まりを表しているのか、ただ権威の色としての表象にすぎないのかどうかは定かでない。また、狼に誘惑される描写から父親にそう思われたいという願いが見てとれる。少女は、成長の過程で、父親に対して強い憧れを持つとされていた。その時期、少女は父親に愛されたいと願い、無意識のうちに母親から父親を奪いたいとさえ思うもの。オイディプスの女の子版ってことだね。


しかし同時に、狼に食べられそうになったとき狩人が助けてくれたが、やはり救ってもらいたいとも思っており、この狩人にも父親を投影しているともとれる。こういった表現から、思春期の女の子特有の複雑で揺れる心理が読みとれる。赤ずきんは幼い女の子の物語だと捉えられがちだが、大人になる過程の少女の葛藤を情愛と結びつけて描かれている話なのである。